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友達の夢【名古屋 体験】

今日3dsでポケモンのゲームをやりながら街を歩いていると、後ろからヤンキーみたいな適当な感じの声で絡んでくる男がいたんだ。
俺は『面倒くせぇ』と舌打ちしながら、やりすごそうと思って近くにあったベンチに腰をかけた。

 

 

「まだそんなガキみてーもんやってんのか?お前は昔からなんにも変わらねーな!」

 

 

声かけられた方を見ると、懐かしい顔がニッコリと笑いながら立っていた。

 

 

「ヒサシか、懐かしいな」

 

奴は18年ぶりに再開した中学校時代の俺の友人ヒサシだ。

ヒサシはちょっとワルそうな感じの顔が整った圧倒的イケメン。

 

wakashinchan
お借りしたサイト
慎ちゃんェ…

※中学校当時のヒサシのイメージです(こんな感じです)

中学生とは思えない大人のような存在感があるが、笑うと少しだけ子供っぽく、背もとても高くてスマートで、ケンカも強いしスポーツ万能。
モデルと言われてもなんの違和感も無いし、今で言う雰囲気イケメンとは次元が違う正真正銘のイケメン。
そして少し枯れたハスキーで低い声は、整った顔に異常に似合いすぎており、
今にも少女漫画のヒロインと危険な大恋愛を繰り広げそうだ。
姉がネタで送ったジャニーズの書類選考も一発合格したが、本人は興味が無いみたいでその話をあっさり蹴った。
そして外人のようなサラサラの金髪ウルフヘアが奴のトレードマーク。
男の俺から見ても触りたくなるほど綺麗な金色。
中学時代の俺はヒサシほど思い切った髪色には出来ず、いつも見ているだけだった。

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お借りしたサイトRain Day 黒髪男子
※俺の中学の頃のイメージ(メガネかけてないしこんな美少年ではありませんでしたがw)

対して俺は、背も低く女子みたいにホッソリした体格で、スポーツも苦手。力も弱く足も遅い。
俺のように小柄で華奢な男は当時サイズがなく、ブカブカになってしまうので、学ランの下にシンプルなレディースシャツをボタンを何個も開けて着てネックレスを見せる。という少し『ませた』制服の着こなしを学校でもしていた。
少し長く伸ばした黒髪と目立つ制服の着方、小柄な体格で「カワイイ」と一部の女子からは少しだけ俺も人気があった。
それでもヒサシとは差が付きすぎて、嫉妬を通り越して憧れてしまうほど奴は中学時代の俺にとって自慢の友達だ。

そんなヒサシと俺に二つだけある共通点は、二人とも母子家庭であること、そして二人とも学校をサボる事ばかり考えていたこと。
共通点や目立つ服装がヒサシのセンサーに反応したのか「お前、超格好良いんだけど」などとヒサシから言われ続けて、いつの間にか一緒に学校をサボって出かけたり、一緒にタ○コを吸ったりする仲になった。

俺はそれまでカワイイと言われる事はあっても、格好良いなんて言われる事は無かったし、ヒサシは周りの友達には一切『格好良い』というフレーズを言っていなかったので、お世辞ではないと思った俺は素直に嬉しかった。

 

 

「つーか、お前まだそんなガキみてーにポケモンとかやってんのか?」
「うるせぇ。好きなんだからいいだろ。ヒサシもワンピース読んだりガキみてぇな趣味だったじゃねぇか」
「ははは!そうだな」

 

「確か、二人ともルフィはあんまり好きじゃなかったけど『海賊王』になりたいってとこだけは格好良いとか話してたな。俺らも将来は二人で経営者にでもなって、一緒に天下取ろうぜ!みたいなw」

 

「ああ。相変わらず記憶力いいな。お前のそういう無駄な事を覚えてるところも昔からホントに変わらねーな。豚として生きるより狼として死ぬんだろ?w」
「おう。そういうヒサシもその反応は覚えてんじゃねぇか」
「バレたか」

 

久しぶりに出会ったヒサシはトレードマークだった綺麗なブロンドの金髪こそそのままだったが、長さは短く無造作なショートヘアになり、元々の長身とも相まって悔しいが大人っぽくて更に格好良くなっていると思った。
俺の隣のベンチに少し離れて腰を掛け、堂々と長い脚を組んで座るヒサシ。
ビシッした清潔感あるグレーのビジネススーツを着こなし、大人になった奴の姿は人知れない風格や気品のようなものすら纏っている。

俺も学校で女子に告白される事くらいは何度かあったが、ヒサシは規格外でモテモテだった。
中学生なのになぜか大人の女性からもモテるので、やたらお金も持っている(本人曰く、女性が勝手にくれるらしい)
その為か同年代の女子の事は子供のように扱っていた。
そして奴は顔が格好良いだけでなく、話が上手い。人が一番言って欲しい言葉を正直に裏表無く言葉に出来る。
そんなモテモテのヒサシだが恋愛になると意外と一途な性格で、遊びに出かけるときは美人の彼女をタクシーに乗せていつも一緒に連れてきていた。

 

けれど今日俺の前に現れたヒサシは一人だった。

 

「なぁヒサシ、いつも連れてた綺麗な彼女とは仲良くやってるのか?」
「いや、あのあと別れてさ。別の子と付き合って、その子と結婚も考えてんだ。すげー良い子だよ、お前にも会わせたいわ」
「そうなんだ。まぁ会ってない期間が長かったし、お互いに色々変わるよな。ていうかまさかヒサシが結婚か」

 

そんなひさびさに再会した友達とのテンプレ的な会話を二人で楽しんでいても、ヒサシが俺について何かを聞いてくる事はなかった。
まるでヒサシは俺が今何をしていて、何を悩んで、何を考えてるのかわかってくれているみたいで、詮索されるのがキライな俺は不思議と心地が良い。

ヒサシは隣で煙草をプカプカ吹かしながら、そして俺は3dsのゲームをいじりながら。話は楽しく弾んだ。

 

そんな懐かしい友達との会話に少しだけ間が出来たとき、ヒサシは急に声も出さずグッと堪えた顔で静かに泣きだした。
気付いた俺は慌てて声をかける。

 

「おいおい、どうした。急に」
「だって…結婚の話とか、さっき二人で経営者になるとか、そういう話をするから…」
「えっ!泣くほどの事じゃねぇだろ…」
「これを…ホラ…見ろよ。わかってるだろ。俺にはもうお前みたいな自由な時間は無いんだ」

 

俺は3dsから視線をずらして、ヒサシの方を良く見ると、彼の身体に見たことも無い医療機械のような物が取り付けられていた。

 

「ああ、ごめん。そうだったな」

 

 

 

───俺は、もうずっと前からヒサシがこの世界にはいない事を思い出した。 ───

 

彼と最後に会ったのは中学の卒業式。
その後ヒサシは母親の都合で遠くへ引っ越し、高校に行かず中卒で働いていたが、バイクの事故で亡くなったという話を友達伝いに聞いた。

 

それを思い出した事が原因で、俺は───『これは夢だ』───と気付いた。
その為か視界が少しづつ白くボヤけてくる。
既に故人となってしまった彼に、どんな言葉をかけたら良いかわからなかった俺は、不安そうな表情をしてしまったかもしれない。
そして俺は今現実世界で、不安とプレッシャーのド真ん中にいたことも思い出した。
けれどヒサシは慌てる事もなく、自分の流した涙をスーツの袖で豪快に拭い、にこやかな表情と静かなトーンで俺に話しかける。

これは男が真剣な話をするときの雰囲気だ。

 

「なれそうなのか?海賊王?っていうか、自分のなりてー人間によ」

 

ヒサシは細かいことは言わない。表面の大切な部分だけを掬って俺に問いを投げてくる。
俺は気の利いた言い回しが出来ず、照れくさくて普通の言葉しか浮かばなかった。

 

「どうだろうな。色々な不安もあってめんどくせぇけど頑張るよ、ヒサシ。お前との約束だからな。だから俺は経営者になったんだ」
「だったら色々悩んでんじゃねーよ。昔からお前は頭で物を考えすぎなんだよ」
「うん。そうかもな…。気を付けるよ」

 

──「そんなに心配そうな顔すんな。本気を出したお前なら、何にだってなれるし誰にだって勝てる」 ──

 

「えっ?!」

 

ハスキーな声でヒサシが口にした言葉はもしかすると『俺が今誰かに一番言って欲しかった言葉』だったのかもしれない。
奴はニッコリと笑って、俺の周囲が一気に真っ白になって全てが消えていった。

 

───そして俺は夢から目が覚めた───

 

きっと経営者として日常的に不安を抱える俺を励ます為に、ヒサシは夢に出てきてくれたのかもしれない。
そんなことを考えながら、今日も会社と呼ぶにはまだまだ小さすぎる自身の経営する店へと向かって、俺は通い慣れた道を歩く。
俺が新たに事業を拡大しようと決心した時に染めた ─金髪─ を、奴は遠くから見てくれているだろうか。

 

終わり

 

という恥ずかしい夢を今日は見ました(*^^*)笑
阿部です

手作り体験と全く関係ない内容ですが、たまには良いよね。

やっぱりヒサシかっけーわ☆

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名古屋手作り体験のLITA


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